[TJOコラム] Kölsch BBC Mix〜Jazz+Techno Vibes
いつもDJのネタ探しにイギリスの国営放送BBC Radioを聴くんだけど、新年早々、Diploの番組で流れていたデンマークのテクノDJ/プロデューサー KölschのDJ Mixが最高過ぎて何度もリピートしてる。
>>> LISTEN HERE!!
というのも1曲目から50年代のフランス映画の名作『死刑台のエレベーター』のサウンドトラックでもあるジャズの巨匠Miles Davisの”L’Assassinat De Carala”でスタート。
そこからここ数年で勢いを増し、音楽配信サイトBEATPORTでも新しく出来たジャンル”Melodic House & Techno”と呼ばれるBPM120前半でシンセやストリングスなどの美しいメロディを軸としたゆったりとしたハウス&テクノを中心に、時にパーカッシヴ、時にトランシーに、しっかりとグルーヴを紡いで、Kölschの楽曲にも通じる映画のサントラのような情景的な世界観に、気付くとつい何度も再生ボタンを押していた。
特にイントロのMiles Davisから2曲目のダビーでトリップ感のあるディープハウスJoaquín Cornejo – “Shadow”への繋ぎが、昔DJ始めたての頃によく聴いていたCarl CraigやFrancois Kらの大御所DJがジャズとテクノを織り交ぜていた世界観を思い起こさせてくれて、確実に出だしから心を掴まれ、ミックス中ずっと次に何が来るんだろうというワクワク感で懐かしい気持ちになった。
Kölsch自体の楽曲もシネマティックだったり、壮大でメロディックなものが多いので、改めてここで彼の好きな曲4曲、そしてこのミックスを聴いていてインスパイアされた昔から大好きなジャズの要素とテクノが融合したオススメ曲を8曲、計12曲、Spotifyプレイリスト”TJO Crates”に更新したのでぜひチェックしてみて。
・My Favorite Kölsch Songs
Kölsch – Now Here No Where
今回のミックスにも収録の1曲。踊れるのにピアノとシンセの織りなすハーモニーがどこかサントラ的。
ここから3曲目までは去年出たアルバム”Now Here No Where”に収録されていて、アルバム自体の出来が素晴らしいのでぜひ全曲聴いてもらいたい。
Kölsch – Remind You
疾走感溢れる四つ打ちのビートに鳴り響くサックス、最高です!こういうのにいつまで経ってもめっぽう弱い僕です。
Kölsch – Glypto
これはちょっと変わり種。子供のチャントとベーシーなテクノの掛け合わせがどこか奇妙なのに、しっかり楽曲として成立しているカッコいい1曲。
London Grammar – Baby It’s You (Kölsch Version)
続いてはリミックス。London Grammarのメランコリックな歌声がしっかりとハマった1曲で、こういうメロディックでストーリー性を感じさせるリミックスも彼の得意とするところ。
ちなみにExtended Versionは12分以上の大作になってるのでそちらも機会あればぜひ。
・Jazz + Techno Vibes
Francesco Tristano – The Melody (Carl Craig Remix)
ここからは僕が大好きなジャズとテクノの要素が掛け合わさったオススメ曲を。
クラシックにテクノの要素も取り入れて活躍するピアニスト、フランチェスコ・トリスターノの旋律をCarl Craigがリミックス。
シンプルながらも力強いハウストラックにピアノの美しいメロディが映える。
Carl Craig & Moritz von Oswald – Attenuator (Carl Craig Version)
こちらは2020年の最新作。Basic ChannelやRhythm & Sound名義でレゲエ、ダブとテクノの融合で衝撃を与えてくれたMoritzとのコラボ。
こちらもサックス鳴り響き系です。シンプルながらやはりカッコいい。
Cobblestone Jazz – Dump Truck
テクノ・プロデューサーMathew Jonson率いるジャム・セッション・ユニット。
とにかく5分過ぎから入ってくるエレピの音が最高!終わりの11分まで延々と聴いてられる。
ちなみにエレピが入るまでもビートがとてもユニークでグルーヴィー。気持ち良くってずっと聴いちゃうんだよね。
The Detroit Experiment – Think Twice (Henrik Schwarz Live Edit)
こちらもCarl Craigによるプロジェクト。デトロイトのミュージシャン大集合でここでは同郷のジャズ・トランペッターDonald Byrdの名曲をカヴァー。
それをテクノ〜ハウスにジャズの要素を取り入れることにかけては定評のあるHenrik Schwarzがリミックス。
お馴染みのベースラインにサックスがスリリングに絡み合う緊張感ある仕上がりに。
とにかくThe Detroit Experimentのアルバムがとても素晴らしいんだけどサブスクで聴けないのが悔しい。。泣
GONNO x MASUMURA – Circuit
続いては日本から。海外でも評価を集めるDJ/プロデューサーのGONNO氏とドラマーのKazuhiko Masumuraによるコラボレーションはジャズ・ドラムのリズムとスペーシーなシンセが絡み合う壮大な1曲。
こういったヒリヒリした緊張感があるジャズはカッコいい。
Herbert – The Last Beat (House Dub)
今度は一変して、社会的なメッセージも取り入れ活躍する天才アーティストHerbert。
奥さんでもあるDani Sicilianoの繊細な歌、そしてジャズ・ピアニストのPhil Parnelのピアノが優しくしっとりと響くミニマル・ハウス。
原曲は完全にジャズなんだけど、このDubバージョンは適度なビート感がさらに曲に陶酔感を与えていて気持ち良い。
僕も敬愛するジャズDJ Gilles PetersonのMIX CDで初めて聴いてそれからずっと好きな1曲。
St Germain – Thank You Mum
最近だとJorja Smithが彼のRose Rougeという傑作ジャズ・ハウスをカヴァーしていた事でも知られるフランスのDJのファーストアルバムからの1曲。
クセになるベースラインに少しずつビートやソウルフルな歌声、ピアノ、ギターが重なっていく。
その自然な展開が12分もある尺を一切長く感じさせないのはさすが。
Bugge Wesseltoft – Change
ノルウェーを代表するキーボーディスト。
アルバム全編通して音数の少ないミニマルな展開がカッコ良くて当時寝る時によく聴いていた1枚。
改めてジャズとテクノの相性の良さを再認識。
たまにはこんなの聴きながら夜過ごしてみてはいかが?