[TJOコラム] BBC Sound of 2021
イギリスの国営放送BBC。
ここのBBC Radioは僕が音楽をディグるうえで最も欠かせないラジオの一つだ。
(なんならblock.fmもここからインスパイアを得て始まったといっても過言ではない。)
そんなBBCが毎年発表している話題の「BBC Sound of」の2021年版の結果が出た。
- Pa Salieu
- Holly Humberstone
- BERWYN
- Greentea Peng
- Griff
以上が今年のBEST5。
簡単に言えば、毎年恒例の「イギリス発!来年絶対に来る新人アーティスト・リスト」。
2003年からスタートし、そこから名を挙げたラインナップはAdele、Sam Smith、Billie Eilish、Dua Lipa、Lewis Capaldiと一部紹介するだけでも充分なもの。
個人的には2016年くらいから意識しはじめて、上に挙げた世界的なブレイク・アーティストだけじゃなくて、slowthai、Mura Masa、Jorja Smith、Ella Mai、ROSALIA、Rex Orange County、Easy Life、Pale Waves、beabadoobee、Georgia、Celeste、YUNGBLUDなど、ジャンルも様々にイギリスの面白い新人アーティストに出会えるキッカケとして楽しんでいる。
先行の流れとしてはイギリスを中心としたアーティストや11プロデューサー、ラジオDJからライター編集者、フェスのブッキング担当など各音楽分野のスペシャリストから集められた意見をもとに、
毎年12月前後に、10組の候補がノミネート(ロング・リスト)される。
参考までに今年の候補はこちら
Pa Salieu、Holly Humberstone、BERWYN、Greentea Peng、Griff、Alfie Templeman、Bree Runway、Dutchavelli、girl in red、The Lathums
今回初めてリスト見たけど、Annie MacやBenji Bなどいつも番組聴いてるDJ陣からアーティスト勢もBillie EilishやCharli XCX、Jorja Smith、Stormzy、YUNGBLUD、AJ Tracey、Foalsなどなかなかなメンツだった。
詳しいリストはこちら>>>BBC Sound of…Pundits
そこから年明けて1月に、最終的に5組が選抜されBEST5(ショート・リスト)が決定する。
面白いのは、イギリスだけでなくいろんな国のアーティストがノミネートされる中、2003年の初回こそ50Centが1位を取るなどしていたが、最近はもっぱらUKのアーティストが1位になることが多い印象。
それこそ、あのBillie Eilishが2018年にBEST5には入らなかったけど世界的成功を収めたようにランキングは参考程度に、新しい出会いの場として楽しむのが良いかなと。
それでも自国から生まれたシンガーやラッパー、グライムやアフロビーツなどのジャンル、カルチャーなどを盛り上げようという風潮は素晴らしい。
ということで今回は、今年の候補者から僕TJO個人が気になったオススメのアーティストを紹介しよう。
6組x2曲=計12曲、Spotifyプレイリスト”TJO Crates”に更新したのでぜひチェックしてみて。
Pa Salieu
今年のNo.1に選ばれたラッパー、「パ・サリュ」。
UKヒップホップの新鋭として2019年に「やばい奴出てきたぞ」って僕の周りのUK好きな人達も話題にしてた事で知ったけど、初めて聴いた”Dem A Lie”ではの浮遊感あるトラック、それに乗るクセのあるフロウにやられた。
幼少期を西アフリカのガンビア共和国で過ごし、そのルーツも意識したフロウやグルーヴは今このUKのシーンでもウケるだろうし、単純に聴いててカッコいいなと。
個人的にはヒット曲の”Frontline”を、Tom Mischとのコラボなどでも知られるUKジャズシーンで人気のドラマーYussef Dayesが、ダークな高速ブレイクビーツに仕上げたリミックスが、新手のグライム的解釈〜自分もDJでよくかけていたジャンルBroken Beatsのアップデートって感じがして、とにかく刺激的でオススメ。
Alfie Templeman
BBC Sound ofのBEST5は逃したものの一番推したいのが彼。
ロック〜90’sヒップホップから日本のシティポップも愛するという、わずか17歳が手掛けるベッドルーム・ポップは”Things I Thought〜”の独特なディスコ感がとにかく秀逸でハマった。
他の楽曲も人懐っこいポップさに溢れたミクスチャーサウンド満載で、ルックスも込みでさらに人気が出そうなのは確実。
Holly Humberstone
この人は数ヶ月前に何の前情報も無しにSpotifyで声を聞いて「これは売れそう!」と直感した。
とにかくその歌声が魅力で、”Deep End”みたいなアコギ一本で歌い上げ系はもちろん、”Falling〜”の四つ打ち系ポップスにもハマる声は、今後いろんなアーティストとのコラボレーションもあったら面白そうだなと期待しちゃう。
若干二十歳にして、元ヴァイオリニストというユニークな経歴。Apple Musicの選ぶネクスト・ブレイク企画「Up Next」にも選出、Lewis Capaldiのツアーにも同行し、すでにかなりの露出でビッグになりそうな予感。
Greentea Peng
緑茶ブランドからその名を取ったという彼女は、いかにもUKらしいレゲエ、ダブ〜アフロを乗りこなすR&B的アプローチが魅力的。
僕も大好きなGilles Petersonの番組”WORLDWIDE”のアワードでもブレイクスルー・アクト賞を受賞し、どこかErykah Badu的なアヴァンギャルドさを歌声からもそのファッショナブルなルックスからも感じさせる。
初めて彼女の名前を知ったのはThe Streetsの”I Wish You Loved〜”でのフィーチャリング参加。UKファンキの四つ打ちトラックの上でThe StreetsやDonae’oのベテランにも負けない存在感、そしてP-rallelとのレゲエでの相性も抜群で、彼女もコラボレーションをいろんなところで聴いてみたくなる一人だ。
Griff
この中ではわかりやすくポップ・アイコンになりそうな存在。
そんなポップス方面ではZeddの”Inside Out”にフィーチャーされたことでその名を知らしめたと思うが、とにかく19歳にして落ち着いた歌声は何度となく聞き返してしまうほど魅力的。
ジャマイカ人と中国人の両親の元に生まれ、楽曲制作のみならず洋服や映像制作までこなすマルチ・プロデュースぶりはまさに新世代を感じさせる。
girl in red
先に挙げたAlfie Templemanと並ぶ「ベッドルーム・ポップ」の新鋭。
彼女の場合ノルウェー出身でよりドリーミーで浮遊感ある世界観が特徴で、”midnight love”とか空気感まで伝わるサウンド・プロダクションが秀逸。
どの曲も夢見心地でこんな寒い時期の夜に聴くのにピッタリでは?
以上、僕個人のオススメするアーティスト紹介してきたけど、あなたの好きな人はいましたか?
先週のJ-WAVE “SONAR MUSIC”でまさにこの”BBC Sound of…”特集してて、あっこゴリラさんと音楽ライターの粉川しのさんの解説がとても面白かったので、ぜひ合わせて聴いてみてね。
Pt.1>>> LISTEN HERE
Pt.2>>> LISTEN HERE